『資本論』以後150年の現代と私

「資本論」でマルクスは何を明らかにしているかをつかみ、現代にどのように生かすべきかを考えます。

僕は人類のために科学・技術の研究をやりたいんだ😺

 

―「再生可能エネルギーの研究を大学でやりたいけど、原発再稼働が次々と進められていく」と悩む受験生―

 

   先日、私は表題のような願いと悩みをもった受験生と話した。今から10年前の東日本大震災福島原発が爆発し、現地の住民や日本のすべての人々が被ばくの恐怖に襲われた。これをきっかけに、原子力発電に頼らないエネルギーを開発したい、とこころざすようになったと彼は言っていた。私は、この受験生が熱心に輝くような表情で話すのをみて、心を打たれた。だからこそというのか、この受験生がすぐにつぎのように語るのをみて、複雑な気持ちになった。つまり彼はこう言ったのである。(再生可能エネルギー:太陽光、風力、など太陽・地球物理学的・生物学的な源に由来し、利用する以上の速度で自然界によって補充されるエネルギー、と呼ばれる)

「政府はどんどん原発の再稼働を決定しているじゃないですか。ぼくがいくら再生可能エネルギーの開発をしたいと思っても、現実は悪い方向に進んでいってしまう。すごく、自分は無力だな~と感じるんですよ。でも、人間のために役立つことを研究したいんですよね」

 本当に彼の言うとおりだ。私は中年になったので、かれのように今から新たな夢と希望を抱いて将来をめざす、というのは難しい。でも、若い彼のような受験生、学生、浪人生が、よりよく社会を変え、社会に役立つような研究や行動をしたいということに、とても共感した。何か一緒に話していきたいと思った。それで、かれの悩みにたいして、私は次のように答えた。

 「そうだね。君の気持ちはよくわかるし正しいと思う。人々が原発を廃止すべきだ、という意見を政府が無視し強引に再稼働を進めていることは間違っている。だから、君の考えは正しいし、志を強く持ってほしい。しかし、君の志は、ただ、研究を進めるだけでは実現できないんじゃないかとおもう。研究すると同時に、その研究を真に社会のためになるようにするためには、現に今の政府がやっているこの人々の意志に反する政治に反対すること。これを同時に行うことが必要だと思う。人々の意志に反する政治を政府がやっている、とわたしは言った。どういうことかといえば。今の政府、菅政権にせよ、前安倍政権にせよ、誰の利害にもとづき、誰の利害を代表して、政治をおこなっているか、と分析するべきだといいたいのです。一見すると、彼らは、あたかも私たちすべての人々のために政治をし、政策をつくっているかのように見せかけている。しかし、それは幻想である。やはり日本の大企業、社会科学的に言えば独占資本の利害を実現するためにやっているのではないか。かれらを資本家階級と呼ぶことができる。独占資本が生産を実現するための安定的なエネルギーを確保し、かつ、日本政府として核兵器開発能力を確保しつづけるために、原発の再稼働をいくら人々の反対があっても強行しているのだ、とおもう。こういうのをみて私は、階級的な利害にもとづいてエネルギー政策は決定され遂行されている、とかんがえている。」

次回のブログのテーマ

「科学・技術の研究を人類のためにおこなう、というのは可能なのか?」を書きました。是非読んでください。